環境を考えるときに考えたいのは、質と量の関係です。
生態系への負荷を考えて、質の良いものを選んでも大量に使わなければならなかったら、その分、原材料や資源をたくさん使うことになってしまいます。だから「海へ…」は、原材料や水の使用量を減らし、少量の洗浄成分でも効果が高く、より多くの生物と共有できるよう作りました。
使う量はなるべく少なく
「海へ…」は、水量30リットルに対して約5mlと、今までの洗浄剤からは考えられなかった使用量の目安を掲げています。
その結果、500mlで洗濯100回分と1回のお洗濯で使う洗浄剤の量を大幅に減らすことができました。
コンパクトさは、輸送中の排気ガスや二酸化炭素の抑制につながります。
だけど汚れはしっかり落とす
界面活性剤を微粒子化するというナノテクノロジー(分子や原子をナノ[nm:1メートルの10億分の一]単位に細分化する技術 )により、
少量でも優れた洗浄力を発揮できるようになりました。
「海へ…」の洗浄基剤は、油と水を乳化(うまく混ざり合うこと)させ、水溶化するというもの。
微粒子化された界面活性剤により油が取り込まれ、油そのものも細分化されます。
油分の再凝集(一度ひきはがした油が再度こり固まること)もないので、水の再汚染を防ぐことが出来ます。
自分たちの住む環境に負担をかけすぎない
微粒子化された界面活性剤により油そのものも細分化されるため、微生物による分解のスピードも、ものすごく早くなります。
微粒子化された界面活性剤自体も、すばやく生分解されるので、環境に負担を掛けることはありません。
界面活性作用が優れている上に油分を分解する、なのに界面活性剤濃度が洗濯水30リットル中洗浄成分0.8mlと極端に薄く通常の約1/30。
(一般的には約25ml、界面活性剤の濃度がある程度高いほうが、汚れ落ちがいいとされています )
それまでの常識では考えられなかった洗浄剤です。
限りある資源のことも考える
世界中のココ椰子を集めて、石けんをつくったとします。
家中・体中、石けんを使うとして、果たして何人分の原料が確保できるでしょうか?
答えは約1億人分。もちろん、人類みんなで共有することは不可能です。
「海へ・・・」の生産方法なら100億人分(世界人口は約70億人)の洗剤をつくることが出来ます。
資源に乏しい先進国も原料供給国もみんなで分配可能ですよね。
そして、ココ椰子の不足が原因で熱帯雨林が消失していることをご存知ですか?
ココ椰子の親戚である、栽培可能なパーム椰子のプランテーション化が進み、地球温暖化の促進、先住民の村の消失、
児童労働、象や動物たちの絶滅危惧、川の農薬汚染が問題化しています。
環境運動から商品開発へ
開発者の木村正宏こと「きむちん」の目的は、水汚染防止。大好きな食べ物は、魚!
最後の清流と呼ばれる四万十川の支流で、魚をつかまえて遊んだ子ども時代、そしてクライマーとして(ヒマラヤにて日本人初登頂2回公式記録あり)、常に自然と密接な生活を続けるうち、山から川へ、海へ・・・と流れていく「水」が汚染されている現実を目の当たりにし、18歳から環境運動を本格的に始めるようになりました。
特に、心を痛めていたのが、家庭から流れる排水。工場排水は規制が厳しくなる一方で、なおざりにされていた問題です。
「排水パイプは小さな海。我が家の排水がきれいになれば、海も変わる」という願いのもと、洗濯用洗剤「海へ・・・」の研究が始まりました。
海洋タンカーの事故処理研究から生まれた基剤との出会い
人肌に含まれる油分は、つや・はり・みずみずしさを与えてくれる大切な成分です。
襟についたら「汚れ」って呼ばれて可哀想ですよね?― 排水で一番問題となるのが、水に溶けない「油汚れ」。
微生物にも分解できず、汚染の原因となっています。
「微生物に負担をかけずに、働きを終えた油を分解する洗剤をつくれないだろうか・・・」と模索していたとき出会ったのが、海洋タンカーの事故処理研究から生まれた油を分解する基剤でした。この基剤は、海洋タンカー事故で流れる大量の油を分解して「水溶性」にするというもの。
この基剤を洗浄剤のもとにすることで、生分解性100%の洗剤「海へ・・・」を開発することができました。
人気の秘訣〜香りの洗剤
ラテン語で「洗う」という意味を持つ、ラベンダーの香り。実は、防腐剤の代わりにプラスしたものです。
「海へ・・・」は、防腐剤を添加しないと腐ってしまう程、毒性が極めて低く、微生物も殺せないのです。
防腐効果の高いラベンダーに、ホオ、ベルガモットをブレンドしたオイルを添加することにしました。
はじめはエコ・フリーマーケットから
1999年春。
出来上がった「海へ・・・」を湯島聖堂のフリマで切り株の上に並べて販売し始めました。
口コミだけが頼りで、自分で洗剤をビンに詰め、売る毎日。
人から人へ繋がって、初年度で1万本に達しました。
3年目を前に手充填では睡眠時間もなくなり、ついに機械充填室を設けることに。
この頃の熱い情熱を忘れることなく日々進化を続けているがんこ本舗です。